君になら、何をされても構わないと思えた




「何する気?」
「・・・わかってるくせにv」
「ヤメテ。気持ち悪い」



日ごろの態度が悪かった
そう言いわれ 私は学校をやめた。
否 やめさせられた。 自主退学ってやつ?
笑えるわけなんてなかった。
なんだかんだ言って私 学校けっこう好きだったから。



バイトが終わって、町をうろつく。
いつもの私だったら、このまま友達と遊んでただろうか。
嗚呼、すっごい悔しい。



そんなときに きみが あらわれたの。



「ねぇねぇ、一人?」
「・・・見てわかんないの?」
「じゃあさぁ、今夜俺の相手してよ」
「はぁ?ふざけないで」
「ダメー?」



しつこい男だ、と思った。
もとから私はウリだのエンコーだの好きじゃなかった。
って言っても普通にお断りなのにね!



「さびしそうな顔してるじゃん」
「うるさい黙って。てゆーかついてこないで」
さっさと帰りたいのに。なんでついてくるんだろう?
嗚呼、鬱陶しい。
「てゆーかさぁ、俺のこと忘れちゃったの?」
「忘れた。知らない。あんたなんか知らない」
「冷たっ・・・」
煩いなあ。そして鬱陶しい!
本当に消えてくれないかな。私帰りたいんだけど!



「前さ、バイト同じだったでしょ?俺だよ、あの・・・レジ打ちの」
「・・・あんた・・・」
「思い出した?」
奴はにっこり笑って私の顔を覗き込んできた。
嗚呼、思い出した思い出した。
確か前のバイトの職場で
レジ打ちを何度も教えても覚えないバカがいたの。
店長にセクハラされてムカついたからそこはやめたんだけど。
学校やめる前だから あんまり覚えていなかった。



「思い出したわよ。で、何?」
「俺家の鍵失くしてさ・・・よかったら泊めてv」
「ふざけんな。」



嗚呼、なんで?なんで今私の家にこいつがいるのかしら?
私こんなに軽くはなかったはずよ?
そうよ、こいつがしつこいから。
「優しいねー。ありがとv」
「なんかしたらぶっ殺すから」
「えー」
「えーって何。黙りなさい。お風呂入るから絶対に覗くな」



お風呂につかりながら、私はそいつのことを思い出していた。
顔は、悪くなかった。むしろタイプだった。
そんなことどうでもよくて、でもバカでウザかった。確か。
でも人一倍頑張ってて・・・優しかったっけな。



お風呂あがりに、奴と話をした。
バイトはまだ続けているのか
彼女とかはいないのか
(私の家に来るくらいだからいないんだろうけど)
そいつも 私にいろいろと話してくれた。
本気で凹んでたら私が通りかかったこと
運命みたいだ〜なんて言っていた。
夜通し話をしているうちに、私たちは仲良くなっていった。





「それでズルズル付き合ったんだよね、私たち」
「なんだ、俺の二度目の第一印象最悪じゃん」
「うん、本当最悪だった」



私たちは明日で、付き合って1年になる。
よくもまぁ、こんなに続いたことで。
「でもよく俺と寝てくれるようになったよね」
「だってあんた優しかったから」
仲良くなるにつれて、君に惹かれていったのは事実。
優しいところも、バカなところも、全部 すきになった。



「優しかったら誰とでも寝るんですか?!」
君は笑いながら怒った。
「そんなわけないじゃん。あんただからだって」
そういうと、君は嬉しそうに私に抱きついてきた。



君は ずっと優しかった
学校をやめて ボロボロの私をつつんでくれた
だから
だからだよ
君になら、何をされても構わないと思えた。



「好きだよーv」
「私も好きだよ」
嗚呼
これを バカップルって言うんだろうなあ。