ねえ 死ぬまで 君とずっと居たいよ と言えたら良いのにね




「なあ」
「ん〜・・・?」
話しかけたものの 言葉はなにも出てこなかった。



「なんでもない」
いつもこんな感じで 僕は君になにも言えないでいた。



言えるはずがなかった。
明日 僕はこの町からいなくなる。
小さいころから僕と君はずっと一緒だった。
そこから恋が生まれたのは
一緒に17年間生きてきた中のたった3年前のことで。



黙っていなくなるなんて君にはとても失礼だとは思う。
でも 僕みたいな男が 君みたいな男に恋をしてるなんて
君には言えそうになくって
泣きながら 君が好きなんだなんて 言えるわけなくて



いつしか君からは規則正しい寝息が聞こえ始めた。
今なら 言えるかな。
君の事が好きだって 言ってもいいですか。
そう思うと 不思議と涙がこみ上げてしまった。



「ねえ
 小さいころ いじめられてた僕を助けてくれてありがとう
 中学に行っても 一緒に頑張ってくれてありがとう
 一緒の高校に行こうって誘ってくれてありがとう
 ずっと 一緒にいてくれてありがとう」



情けないくらいにボロボロ涙がこみ上げてしまった。
男の癖に みっともないのはわかってるけど
止められそうになかった。



「僕 君のことが好きだよ
 ずっと一緒にいるうちに この気持ちに気づいたんだ
 気持ち悪いって思って良いよ
 ただ 伝えたかっただけなんだ
 本当は 気持ち伝えずにこれからもいい友達でいたかったんだ
 でも もうお別れだ。
 離れていたって ずっと友達だって言ってくれる?」



涙をぬぐって 君の顔を見た。
安らかな寝顔を見て やっぱり僕は君が好きだと確信した。



「本当は 面と向かって言えたらどんなにいいかと思ってる
 寝てる間にこんなこと言うのずるいって思ってる
 でも もし拒絶されたことを考えると怖くて仕方がないんだ
 友達の君さえも 失ってしまうのが怖いんだ
 ずるくて ごめん。
 でも僕は君のことが好きだ」



深呼吸
君の寝顔を見つめた。



「ねえ 死ぬまで 君とずっと居たいよ と言えたら良いのにね
 僕は明日 この町からいなくなるよ
 ずっと一緒にいられると思ってた。
 ずっと一緒にいたいよ・・・ねえ・・・」



目を覚まして欲しくて
目を覚まして欲しくなくて



「ごめんね さよなら」



眠る君の唇に そっと唇を寄せた。
もう 迷惑かけないから。
もう 君は幸せになっていいから



ボロボロ流れる涙をぬぐって
僕はその場から去った。
僕の姿が見えなくなるまで 目を覚まさないで欲しかった。
僕は 走った。



もし ずっと一緒にいれたとしても
君が結婚したりするのは耐えられない
それでもいつか そんな日がくるのだから
彼女を紹介されたり 結婚のことを告げられた日よりは
ずっと 楽だと思ったんだ



すきで すきで しぬほどすきで
きみのことがすきすぎる こんなじぶんをのろった。



さよなら 、 だいすきだったよ。