暴力的な彼女を可愛いと思ってしまった僕はきっと末期で




「ふざけんな、死ね」



今日も彼女はそんな暴言を吐き僕の前から去っていった。
あはは、照れちゃって。
そんな誤魔化さなくても平気だよ、
君が僕のことすきなのは わかっているんだから。



「お前さ、馬鹿でしょ?」



彼女は、そう僕に言い放った。



「そうかもね」
僕は間髪要いれずにそう答えた。
彼女は あっけにとられた顔をしていた。
「君に対しては馬鹿かもね」
僕はそう付け加えた。



彼女は顔を赤くしてそっぽを向いた。
照れ隠しがへたくそな君が とても 愛しかった。



「ほんっと・・・死ね!」



「死んでもいいの?」
そう答えると彼女は一瞬ぴたりと止まった。
「君が望むなら 僕は君のために死ぬよ?」
彼女の表情が曇った。
「そうだよね。君は僕のことなんか好きじゃないんだもんね」
 彼女は僕に すきと 言ってくれたときなんかなかったから。



「死ねって、言ったよね。 じゃあ、死ぬから」
バイバイ、と彼女に手を振って、背を向けた。



「え、 ちょっ・・・待ってよ!」



彼女は僕の服のすそを掴んだ。
「冗談だって、わかってるんでしょ?!
 私が貴方のこと好きなのもわかってるんでしょう?!」
「だって、死ねって言ったじゃないか」
彼女の顔がカッと赤くなった。
「死なないでよ!好きじゃなかったらいじめないもの!」



ああ
僕は しあわせかもしれない。



「じゃあ 死なないよ」
そう言って頭をなでてやると、彼女は軽くうつむいた。
「はじめて、すきって 言ってくれたね」
僕は うれしいよ。



彼女は真っ赤な顔して僕を見上げた。
「サイッテー!からかったの?!」
「からなってなんかいないよ。確かめたかっただけだ」
「なによ、もう!!」



彼女は真っ赤になって 僕の腰を蹴飛ばした。



ああ
可愛いなあ、 もう。



暴力的な彼女を可愛いと思ってしまった僕はきっと末期で
依存 という言葉が今の僕には良く似合う。



愛は 盲目を呼び
依存は 破滅を導く。



あいしているよ、 えいえんに。