もし、近い内に僕が死ぬとしたら




「なんで、そんなこと言うんだよ」
君は、泣きそうになりながら言った。
「もしも、の話だってば」
僕は笑って誤魔化しながら言った。
「もしもだって、そんなマイナスに考えるなよ…」



もし、近い内に僕が死ぬとしたら 君は何をしてくれる?



僕はさっき、この言葉を君に問いかけた。
しかし君は答えてはくれなさそうな雰囲気だ。



「嫌じゃんか、お前が死ぬなんて…」
悲しそうに、君は言った。
「なにをするかなんて…わかんねぇよ、今の俺には」



もし近い内に僕が死ぬとしたら
僕は死ぬ瞬間まで君にそばにいて欲しい。
最後に君を僕の中に焼き付けたい。



「ねえ 好きだよ?」
できるなら 死にたくなんかないさ。
「俺 お前嫌いになったことないぞ?」
君は 真剣な目で言った。
「俺ができることってなんだろうな。
せめて 「死ぬな」 って言うことくらいじゃないか?」
「なんだそれ」
軽く 流したつもりだったけど
凄く 凄く嬉しかった。
柄にもなく 泣きそうになっちゃったり。



「やっぱり 死んで欲しくはない」
君は 僕の目を見て言った。
「ありがと。君がいるなら 僕は死なないよ」
僕も 君の目を見て言った。


恥ずかしそうにそっぽを向く君を
酷く 愛おしく思えた。


「だって、今がとても幸せだから」


あいしている。
口付ける君を 永遠に



   ねえ
   もし近い内に僕が死ぬとしたら
   君は 泣いてくれるかい?